FRPとカーボンの重量比較
ミニ四駆の改造パーツの中で、ステーやプレートなどの板状のパーツは、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)とカーボン(炭素繊維強化プラスチック)の2種類が主に使われている。 一般的に、カーボンはFRPよりも軽量で高強度とされているが、コストはカーボンの方が倍以上高い。 全てのパーツにカーボンの強度が必要かというとそうではないと考える。 そうなると、FRPとカーボン、どちらを選ぶべきかは、重量差とコストのバランスを考える必要がある。
実際の重量差はどの程度なのか、具体的な数値を比較してみる。 手元にあるパーツで同形状の物で比較する。
まずは、FRPのブレーキステー。
3.9gである。
次に、カーボンのブレーキステー。
3.3gである。
重量比は、3.3g / 3.9g ≈ 0.846 である。
これを大きいとみるか小さいとみるか。 ざっくり、FRPのパーツが20g使われていたとしたとき、同じ形状のカーボンパーツにすると、約3gの軽量化になる。
20m直線で3g軽くなると何秒変わるか
ここからは、軽量化の効果をわかりやすくするために、直線20mを停止状態から加速するケースで、3g軽量化の時間差を見積もる1。
結論としては、120gから117gに軽くした場合、今回の仮定(マッハダッシュで直線20mの加速)では約0.04秒短縮となった2。 重さの違いが効いてくるのは、加速が必要なシーンである。 よりテクニカルなコース(ジャンプがあったり、コーナーが多い場合)では、軽量化の効果は顕著になる。 例えば、ミニ四駆の速度が20km/h(約5.56m/s)程度であるとすると、0.04秒の差は約0.22mの差になる。ミニ四駆一台分よりも少し大きいくらいの差である。 これは、かなり大きな差であるといえる。
ただし、軽量化の割合とタイム短縮の割合は2:1くらいの関係になる。 重さを2%減らすと、タイムは約1%短縮されるイメージである。
詳細に見ていく。使った条件は次のとおりである。
- 質量: 120g(比較先は117g)
- モーター: マッハダッシュ系の代表値としてトルク \(\tau = 1.9 \times 10^{-3}\,\mathrm{N\cdot m}\) を仮定
- ギヤ比: \(i = 3.7\)
- タイヤ径: 23.5mm(半径 \(r = 11.75\,\mathrm{mm}\))
- 駆動効率: \(\eta = 0.8\)(代表値として仮定)
このとき、駆動力は
\[F = \frac{\eta \tau i}{r}\]で見積もれる。 さらに
\[a = \frac{F}{m},\quad t = \sqrt{\frac{2s}{a}}\ (s=20\,\mathrm{m})\]より、120gと117gの到達時間差を計算した。
なお、同じ駆動力を仮定する限り、時間比は \(t \propto \sqrt{m}\) となるため、 今回の 3g 軽量化(120g→117g)は約1.26%の短縮に相当する[^ratio]。
実走では転がり抵抗や空気抵抗、モーター特性の速度依存で差分は前後するので、ここでは「一次近似の目安」として扱うのがよい。
まず
\[F = \frac{0.8 \times 1.9\times10^{-3} \times 3.7}{0.01175} \approx 0.479\,\mathrm{N}\]つぎに
\[a_1 = \frac{0.479}{0.120} \approx 3.99\,\mathrm{m/s^2},\quad a_2 = \frac{0.479}{0.117} \approx 4.09\,\mathrm{m/s^2}\]20m到達時間は
\[t_1 = \sqrt{\frac{40}{3.99}} \approx 3.17\,\mathrm{s},\quad t_2 = \sqrt{\frac{40}{4.09}} \approx 3.13\,\mathrm{s}\]よって差分は
\[\Delta t = t_1 - t_2 \approx 0.04\,\mathrm{s}\]となる。 [^ratio]: \(\frac{t_2}{t_1}=\sqrt{\frac{m_2}{m_1}}=\sqrt{\frac{117}{120}}\approx0.9874\) より、短縮率は約 \(1-0.9874=1.26\%\)。