ATバンパーについて
ATバンパーはミニ四駆のフロントに装着するパーツで、バンパーをベースから独立した部品として作成し、それをバネで押さえつけることで、 コースの形状に合わせて動くようにしたギミックである。
コース壁面に吸い付くようにトレースすることからAT=オート・トラックの名が付けられたのが「ATバンパー」だ。追従性の高さから通常のリジッドバンパーに比べてコーナリングスピードの向上が見込め・・・
(引用元:タミヤ公式ガイドブックミニ四駆超速チューンナップ入門,松井謙介,株式会社ワン・パブリッシング,2023)
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コーナーにおける要件
コーナーでは、スラストが抜けたほうが早く曲がれる。 ただし、スラストは絶対にマイナス方向(上向き)になってはいけない。
LCにおける要件
一方で、LC(レーンチェンジ)においてATバンパーに求められる挙動は以下の通りである。
- 前輪が浮き上がる。
- ローラーを壁に押し当てる力がゼロになる。
- ATバンパーのスラストを抜く力がなくなるので、スラストが戻る。
- ローラーがLCの壁に当たる。
- スラストが戻っている状態で当たるので、一瞬下向きの力がかかる。
- 車体の鼻先が下がる。
この挙動を実現するためには、ATバンパーのスラストを抜く力がなくなったときに、スラストが素早く戻るような構造にする必要がある。
ATバンパーの設計指針
ここまでの要件を満たすためには、ローラーにかかる力を使ってバネを縮め、スラストが抜けるようにしなければならない。 ニュートラルな状態では、ローラーが下を向いているため、壁に当たるとローラーには下向きの力がかかる。 この力は、ローラーの材質によって変わる。摩擦抵抗が大きい材質の方が下向きの力が大きくなる。 また、この力を使ってバネを縮めるためには、バネと支点、ローラーの位置関係を適切に配置する必要がある。 スライドダンパーと組み合わせる場合のATバンパーを横から見ると、おおむね以下のような構成になっている。

このとき、なるべく支点と力点(ローラー)を遠ざけ、支点と作用点(バネ)を近づけるように配置することで、ローラーにかかる力を効率的にバネの力に変換することができる。
支点と力点の位置関係も重要である。 ローラーにスラスト角がついていると、コーナリング時にローラーは横に滑るように動くため、ローラーの回転軸方向に対して滑り抵抗が発生する。 この抵抗力をバンパーの回転力に最大限変換するためには、以下の図のような配置が理想的である。

スラスト角を決めると、自ずと支点と力点の理想の位置関係が決まる。 スラスト角が2度とすれば、ほぼ支点と同じくらいの高さに力点が来るように配置するのがいいだろう。
バネの力が強すぎると、結局それが抵抗になってしまうため思うような効果が得られない。
一方でLCにおいては、まず、スラストが瞬時に戻ることが重要である。 そのためには稼働する部分の重量をできるだけ軽くすることが重要である。提灯連動は、可動部の重量を増やす可能性があると考える。 また、壁に当たり下向きの力を効果的に発生させるには、力の入力への反応が遅い方が有利である。 これまで述べてきた、スラストが抜ける方向の力学と真逆になるため、最終的にはこれらのバランスが重要になってくる。 どこかで手軽に調整できることが理想であるが、これはばねを止めるナットの締め具合で調整できるかもしれない。